少し前になりますが、近くのギャラリーで行なわれていた
リトグラフ展のお話です。
思わず見上げてしまう程の、何メートルもある大判ポスターや、
キャラメルでもご紹介しているような、アンティークのポストカードや
トレードカードなど小さなものまで、たくさんのお品が展示されていました。
時代を経ても尚、魅力的な印刷物ばかりでした。
アンティークの紙物ファンにおなじみ、リトグラフ(石版印刷)は、
1790年代に、ドイツの若い劇作家A. Senefelderによって、発案されました。
自分の書いた劇本を、安く大量に、より早く出版したいという
この作家の情熱が、リトグラフ手法を可能にしました。
それまで、通常の印刷手法は、コッパープレート(銅版)や、
木版に絵を彫りこみ、それをインクで刷っていくという
大変時間のかかるものでした。
リトグラフは、平たい石(ライムストーン)の上に、
油分の強いクレヨンのような素材で、絵を描き、
その上から、水性インクで色付けをし刷っていきました。
まさに、水と油は交えない、という理論を元にした手法です。
色が付いたものの上からは、さらに、オイルコーティングをし、
水性インクが、溶けないように工夫されてもいました。
実際に、当時の作業を再現したブースもあり、
年配の担当の方が、それは丁寧に説明をして下さいました。
面白いことに、一番熱心に、彼の説明を聞いていた
まわりの4人は、みんなグラフィックデザイナー!笑
私も、元デザイナーですので、お互いに、なんだか笑ってしまいました。
そして、コンピューターで微妙な色の配合などを
可能にした現代の印刷技術に、有難みを感じるのでした。
リトグラフは、一枚の印刷を完成させるのに、
その絵に使用された色の数だけ、石の上で刷られて行きます。
これが、当時、印刷の大量生産の最新技術であり、
画期的手法だったのか!と、あまりの手作業の多さに
びっくりもしました。たとえば、一枚のトレードカードが
あったとして、そちらは、30回以上、同じ石の上で違う
色を刷って行きます。(気絶しそうな長い作業。。。!)
ちなみに、現代の印刷手法は、4色の基本カラーがあり、
それを機械で、色を配合して印刷となります。
それでも、リトグラフは、石に絵を彫りこむ作業はないわけで、
やはりかなりの時間を短縮できた手法だったのですね。
(さらに前の印刷手法としては、コッパープレート(銅版)がありますが、
こちらは、絵を銅版に彫りこみ、手で色付けをしたものです。
ファッションプレートなどが、一例です。)
実際にリトグラフ技法が花開いたのは、1800年代に入ってからですが、
特に、商業印刷(広告等)に、ふんだんに使用され、
1870年代になる頃には、各セールスマンは、
カラフルに印刷されたトレードカードや、
商品カタログを使用していたと言います。
また、各家庭では、リトグラフで製作された風景画などを
フレームに入れてインテリアとしても、取り入れたそうです。
カラフルな色使い、デザインとしての、構図やモチーフのおもしろさ、
当時の生活・風習を知る貴重な資料であるリトグラフたち。
そして、何よりも、もう二度と刷られることのない
印刷物であること - 当時、印刷物が必要分仕上がった後、
高価なライムストーンは、前の印刷を削られ平らに戻し、
さらなる新しい印刷デザインを絵描き、再利用されました。
ゆえに、限定数以上、後から再販されることはまれでした。
たまに、アンティークフェアなどで、
その昔のライムストーンを見かけることがあります。
一枚の上に、いくつもの違うデザインが描かれていたりして、
その石が当時、高価なものであり、すこしの隙間でも
使用しようと試みたのが伺えました。
*画像: ハンティントンライブラリー、リトグラフ展カタログより。
** 最後の画像は、養毛剤の宣伝カードです!
ものすごい効果が期待出来そうです!!笑
リトグラフ展のお話です。
思わず見上げてしまう程の、何メートルもある大判ポスターや、
キャラメルでもご紹介しているような、アンティークのポストカードや
トレードカードなど小さなものまで、たくさんのお品が展示されていました。
時代を経ても尚、魅力的な印刷物ばかりでした。
アンティークの紙物ファンにおなじみ、リトグラフ(石版印刷)は、
1790年代に、ドイツの若い劇作家A. Senefelderによって、発案されました。
自分の書いた劇本を、安く大量に、より早く出版したいという
この作家の情熱が、リトグラフ手法を可能にしました。
それまで、通常の印刷手法は、コッパープレート(銅版)や、
木版に絵を彫りこみ、それをインクで刷っていくという
大変時間のかかるものでした。
リトグラフは、平たい石(ライムストーン)の上に、
油分の強いクレヨンのような素材で、絵を描き、
その上から、水性インクで色付けをし刷っていきました。
まさに、水と油は交えない、という理論を元にした手法です。
色が付いたものの上からは、さらに、オイルコーティングをし、
水性インクが、溶けないように工夫されてもいました。
実際に、当時の作業を再現したブースもあり、
年配の担当の方が、それは丁寧に説明をして下さいました。
面白いことに、一番熱心に、彼の説明を聞いていた
まわりの4人は、みんなグラフィックデザイナー!笑
私も、元デザイナーですので、お互いに、なんだか笑ってしまいました。
そして、コンピューターで微妙な色の配合などを
可能にした現代の印刷技術に、有難みを感じるのでした。
リトグラフは、一枚の印刷を完成させるのに、
その絵に使用された色の数だけ、石の上で刷られて行きます。
これが、当時、印刷の大量生産の最新技術であり、
画期的手法だったのか!と、あまりの手作業の多さに
びっくりもしました。たとえば、一枚のトレードカードが
あったとして、そちらは、30回以上、同じ石の上で違う
色を刷って行きます。(気絶しそうな長い作業。。。!)
ちなみに、現代の印刷手法は、4色の基本カラーがあり、
それを機械で、色を配合して印刷となります。
それでも、リトグラフは、石に絵を彫りこむ作業はないわけで、
やはりかなりの時間を短縮できた手法だったのですね。
(さらに前の印刷手法としては、コッパープレート(銅版)がありますが、
こちらは、絵を銅版に彫りこみ、手で色付けをしたものです。
ファッションプレートなどが、一例です。)
実際にリトグラフ技法が花開いたのは、1800年代に入ってからですが、
特に、商業印刷(広告等)に、ふんだんに使用され、
1870年代になる頃には、各セールスマンは、
カラフルに印刷されたトレードカードや、
商品カタログを使用していたと言います。
また、各家庭では、リトグラフで製作された風景画などを
フレームに入れてインテリアとしても、取り入れたそうです。
カラフルな色使い、デザインとしての、構図やモチーフのおもしろさ、
当時の生活・風習を知る貴重な資料であるリトグラフたち。
そして、何よりも、もう二度と刷られることのない
印刷物であること - 当時、印刷物が必要分仕上がった後、
高価なライムストーンは、前の印刷を削られ平らに戻し、
さらなる新しい印刷デザインを絵描き、再利用されました。
ゆえに、限定数以上、後から再販されることはまれでした。
たまに、アンティークフェアなどで、
その昔のライムストーンを見かけることがあります。
一枚の上に、いくつもの違うデザインが描かれていたりして、
その石が当時、高価なものであり、すこしの隙間でも
使用しようと試みたのが伺えました。
*画像: ハンティントンライブラリー、リトグラフ展カタログより。
** 最後の画像は、養毛剤の宣伝カードです!
ものすごい効果が期待出来そうです!!笑