素敵なアンティーク・シューズを、古いお宅から譲って頂きました。
きれいな濃い紫色のベルベットのシューズです。
シルクリボンの刺繍が、きれいにほどこされています。
裏はレザー製。 色々と細かな作業が見てとれます。
そして、靴の中には、ちいさな紙切れが。
代々、古いお宅に伝わったお品の場合、
このようなちょこっとしたメモが、覚え書きとして、
お品とともに保管されていることがあります。
書いておかなくても覚えている、というのは結構間違いで、
長い年月の間に、誰のだこれは?なんて、同じファミリー内でも
混乱することがあるそうです。
特に、持ち主が3人目あたりから、そのお品の年代も記憶もおぼろけに。
最終的に、わたしのようなディーラーの手に渡ることもあるわけです。
素敵なお品との出会いは、スキップしちゃうくらいとても嬉しい。
でも、最初の持ち主のことなど考えますと、お品を手にして、
胸がきゅんとなることもあるのです。笑
特に、手刺繍や、時間をかけた当時の手作り品には
出会えたことに感動すると共に、胸きゅんと寂しいような思いも。
こんな丁寧な刺繍をした人は、どんな人だったのだろう?とか、
どんな思いを込めて作ったのだろう?なんて、考えすぎ?笑
なわたしです。いつも、お品が素敵であればある程、
なんとも複雑な気持ちになります。
私たちよりずっと昔に誕生して、今もここにあるアンティーク。
何人の人に愛されたのかしら?と、タイムトラベル気分に入ります。
わたしは、こういうお品にまつわる、エピソードを
探すのが大好きで、このメモももちろん調べました。
さて、今回のメモは、、、
”この靴は、サラ・ジェーン・ホール、もしくは、ホールおばあさんに属する”
と、英語の鉛筆書きがあります。それ以外は、何もありません。
カンザス州内で、サラ・ジェーン・ホールさんを調べました。
記録で同名の人は、1人だけ。いました!!
しかも、この靴の年代とほぼ合う、1800年代の方でした。
現在、カンザス州の、スミス郡というところで、だんな様の
トーマス・ホール氏と並んで眠っているそうです。
生まれは、1853年、亡くなったのは1933年。
記録によりますと、この方のだんなさまも、
サラ・ジェーンと同じ、1933年に亡くなっています。
これ以外は、まったくわからなかったのですが、
このシューズ自体は、1800年代半ば~頃のお品かと
思われます。”風と共に去りぬ”が舞台になった頃、
遠い昔の時代です。
メモと、実際の記録がクロスしました。
彼女のおばあさんに関しては、何の記録も見つかりませんでしたが、
もう、1700年代生まれの、かなり昔の方かと思われます。
ちいさなメモをクリアな袋に入れ、靴とともにそっとしまいました。
いつ、どんな方のもとへ、旅立っていくのでしょうか。
今は、わたしのクローゼットでお休み中です。